二次試験まで走り抜けさえすれば、受験はひと区切り――。
そう思っていました。
二次試験が終わっても、何も終わってはいませんでした。むしろ、本当の苦しさはここからだったのかもしれません。
3月10日12時の合格発表までの13日間。振り返れば、この13日間が受験生活の中でいちばん長く、そして苦しい時間でした。
娘だけでなく、母も燃え尽きていた
東大二次試験を終えた娘は、本来であれば、後期試験に向けて受験勉強を続けなければなりません。
前期試験が残念な結果に終わったのなら、残る道は後期試験しかないのです。
ですが、やる気になれない気持ちもよく分かります。
前期試験が終わって帰宅してから2、3日は休んでもいい。そう思う一方で、親としては、なるべく早く後期試験に向けて動き始めてほしい――そんな気持ちがありました。
そして母である私も、本来なら後期試験に向けた準備を進めるはずでした。
後期試験の準備が手につかない
後期試験で受験する大学周辺の下調べ。入学することになった場合の物件探し。
やるべきことは山ほどありました。
それなのに、まったく手につかないのです。
心だけが空回りし、焦る気持ちは募るばかり。
けれど、何も進みませんでした。
東大に合格していてほしい気持ちが強すぎて、東大不合格だった場合の準備を進めることに、どうしても心のブレーキがかかってしまうのです。
後期試験の準備をすること自体が、「東大不合格」を認めるような気がして、なかなか手をつけられませんでした。
いえ、後期試験の準備をすること自体が、「東大不合格」を引き寄せてしまうような、そんな奇妙な感覚さえありました。
今思えば非合理なのですが、受験の終盤になると、人は案外そういうものなのかもしれません。
昔の人がお祈りやおまじないに頼った気持ちが、少し分かった気がしました。
追い詰められると、人は理屈ではなく、祈るしかなくなるのかもしれません。
受験の終盤は、理屈では割り切れない、人間の本能のようなものがむき出しになってしまうことがあるのだと思います。
だからといって、東大入学後の準備を始められるわけでもなく……。
母がこんな調子なのだから、娘はなおさらだったと思います。
家から笑顔が消えた13日間
正直に言うと、この13日間の記憶はほとんど残っていません。
家の雰囲気は、暗く張り詰めていました。
いつもなら、のほほんとしていて、どこかキョトンとしている娘。
その姿が当たり前のように家にあり、家族は知らず知らずのうちに癒やされていたのだと、改めて気付かされました。
受験の重圧は、娘から笑顔を奪っていきました。
合格発表の日を待つ時間は、もどかしい。でも、どうにもならない。
受験勉強とはまた違う苦しさが、そこにはありました。


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