娘が理系を志望し、大学受験について調べ始めた頃、私は「女子枠」という制度の存在を初めて知りました。
正直に言うと、初めは少し戸惑いました。
「女子だけ特別扱いする入試制度?それって逆差別じゃないの?」
地方から東大を目指した理系女子の母として、女子枠について考えてみたいと思います。
大学入試における女子枠とは?
大学受験の世界には、一般選抜以外にもさまざまな入試制度が存在します。
そして最近は、理工系学部を中心に「女子枠」を導入する大学が増えてきました。
「女子枠」は、大学入試において女子のみが出願できる入試枠です。特に女子比率の低い理工系の学部を中心に、男女差の是正を目的に導入されています。
女子枠とは?理工系学部への進学を目指す女子高生に必読!
大学によって制度は異なりますが、
- 一般選抜とは別に女子だけを対象とした選抜を行う
- 学校推薦型選抜や総合型選抜として実施される
- 面接や志望理由書などを重視する
といった特徴があります。
背景には、日本の理工系分野における女性比率の低さがあります。
大学側としては、
- 理工系を志望する女子を増やしたい
- 多様な視点を持つ研究者や技術者を育てたい
という考えから、制度を導入しています。
女子枠だけが特別ではない
実は、特別な枠は女子枠だけではありません。
例えば、
- 学校推薦型選抜……学校長の推薦を受けた生徒を対象とした入試制度です。学力だけでなく、学校での成績や活動実績、人物評価なども重視されます。
- 指定校推薦……大学が指定した高校の生徒を対象とした入試制度です。高校内の選考を経て推薦されます。
- 総合型選抜……学力試験だけでなく、活動実績や学ぶ意欲、将来の目標などを総合的に評価する入試制度です。
- スポーツ推薦・一芸一能入試……スポーツや芸術、文化活動など、特定分野で優れた実績や能力を持つ生徒を対象とした入試制度です。
- 地域枠……主に医学部で実施されている制度で、地域医療を担う人材の育成を目的とした入試です。卒業後に一定期間、その地域で勤務することを条件としている場合もあります。
- 帰国生選抜……海外で一定期間生活し、外国の学校などで学んだ生徒を対象とした入試制度です。海外での学習歴や語学力などが出願条件となる場合があります。
- 私費外国人留学生選抜……外国籍の留学生を対象とした入試制度です。日本語能力や学力試験などを組み合わせて選考されることが一般的です。
- 社会人選抜……社会人経験を持つ人を対象とした入試制度です。職務経験や学ぶ目的などを重視して選考されます。
- 編入学試験……高等専門学校や短期大学、他大学などで学んだ学生が、大学の途中年次から入学するための制度です。
- 飛び入学……高校卒業を待たず、特に優れた能力を持つ生徒が大学へ進学できる制度です。実施している大学は限られています。
- 全国児童養護施設等推薦特別枠……児童養護施設や里親家庭などで育った生徒を対象とした入試制度です。
- カトリック高等学校対象特別入学試験……指定されたカトリック系高等学校に在籍する生徒を対象とした特別入試です。
などがあります。
こうして見ると、女子枠だけが特別な制度というわけではありません。
大学側には、どのような学生に来てほしいかという考えがあり、その目的に応じてさまざまな入試制度が作られています。
女子枠を「ずるい」と感じる人がいるのは当然
一方で、女子枠に対して、
「女子だけ優遇されているのでは?」
「一般選抜の枠が減ってしまうのでは?」
と感じる人がいるのも理解できます。
実際、一般選抜で受験する生徒や保護者にとっては、
「同じ大学なのに、別のルートがある」
という感覚になることもあるでしょう。
受験は人生を左右する大きな出来事です。
だからこそ、不公平感を覚える人がいるのは自然なことだと思います。
それでも、制度が生まれた背景がある
その一方で、理工系を志望する女子生徒が少ない現実もあります。
地方では特に、
「女の子なのに理系なの?」
「研究者って大変そう」
「医学部なら分かるけど、工学部?」
そんな言葉を耳にすることもあります。
もちろん、以前よりずっと状況は良くなっています。
それでも、理系を選ぶ女子が少数派である場面は、まだ少なくありません。
もし、女子枠という制度が、「挑戦してみようかな」と思う女子の背中を押しているのだとしたら、それには意味があるのかもしれません。
母として思うこと
娘は東大理系を一般選抜で受験しました。
しかし、学校推薦型選抜に挑戦してみようかと考えていた時期がありました。
学校推薦型選抜と一般選抜。
東大に挑戦する機会が二つあるのであれば、その二つにチャレンジしてみようと思うのは当たり前のことだと思います。
しかし、最終的に、高校の担任の先生に言われました。
高校の担任の先生娘さんなら一般選抜で十分戦えますよ。
受かるかどうか分からない推薦に時間と労力を使うより、一般選抜に集中した方がいいと思います。
担任の先生にこのようにおっしゃっていただき、心置きなく一般選抜への挑戦ができました。
もちろん、担任の先生を盲信しているわけではありません。
しかし、実際に、娘の高校から学校推薦型選抜で東大に合格した生徒はいました。
先生方は、生徒一人ひとりの適性を見ながら、
「学校推薦型選抜が向いている子」
「一般選抜で力を発揮できる子」
を判断されているのだろうと思います。
女子枠は、必ず受かるわけではない
女子枠が「ずるい」と言われることがあります。
しかし、本当にそうでしょうか。
女子枠で挑戦する受験生も、合格を目指して努力を重ねています。女子枠だからといって、自動的に合格できるわけではありません。実際には、不合格になる受験生もいます。
大学受験は選抜です。一般選抜でも女子枠でも、それぞれのルールの中で結果を出さなければ合格できません。
受験生は、自分が使える制度を調べ、自分に合った入試方式を選び、そのための準備をして受験に臨みます。推薦入試や学校推薦型選抜、共通テスト利用などを検討するのと同じように、女子枠も数ある選択肢の一つです。
女子枠という制度そのものについては、さまざまな意見があって当然だと思います。私自身も、その是非を簡単に判断できるものではありません。
ただ、制度が存在している以上、その制度を利用して挑戦する受験生を責めるべきではないと私は考えます。
女子枠で合格した受験生は、「女子だから受かった」のではありません。女子枠という制度を理解し、挑戦し、その中で合格を勝ち取ったのです。
だから私は、それを「ずるい」とは思いません。
まとめ
女子枠だけでなく、入試には昔からさまざまな制度があり、それぞれに目的があります。
そして、その制度をどう活用するかもまた、受験の一部です。
私が願うのはただ一つ。
「挑戦してみたい」
そう思った子どもたちが、性別や地域、経済的な事情だけを理由に、夢を諦めなくてよい社会であってほしい。
地方から東大へ娘を送り出した母として、そう願っています。
地方から大学進学を目指すためには、学力以外にもたくさんの壁があります。
情報の差。
距離の問題。
お金の問題。
だからこそ、挑戦したいと思う子どもたちを支える制度について、これからも知っていきたいと思います。
そして、同じように子どもたちを支えるお母さんたちと、一緒に考えていけたらと思っています。



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